「この手にかかれば人生が変わる」人気ホストを育て続けた教育者が貫く、コロナ禍をも乗り越える信念

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今回から始まるhoreru.comの新連載。業界として、異色の対談が実現しました。有名プレイヤーの移籍に頼らず、「人間教育」を謳い、初心者から一億円プレイヤーを続々と生み出す異端児集団 group BJの一条ヒカル社長。

そして、歌舞伎町最大手と名高いホストグループgroupdandyの中でも、もっとも勢いのある『日本一混んでいるホストクラブ』REDを築きあげたプロデューサー ブリ大根KAKERUさん。

プレイヤーとして伝説を残しながらも、現在はプロデュース業に徹しホスト業界の改革を目指すお二人の対談を通じて、メディアで報じられる姿とは違う「歌舞伎町の本当の姿」に迫ります。

2020年、世界を襲った未曾有の事態。その中でも、さらに窮地に追いつめられた歌舞伎町を、お二人はどのように乗り越えたのでしょうか。そして、今改めて見据える、ホスト業界の未来とは。


華やかな二大グループを支える、幹部の「地味」な毎日

気になる2人の面識は、プレイヤー時代に歌舞伎町の路上で挨拶をした程度。しっかりと話をするのは、初めてとのことです。普段はなかなか聞けないお互いの仕事についての話から、対談は始まりました。

左:ブリ大根KAKERUプロデューサー
右:一条ヒカル社長

ホストクラブの社長とプロデューサーの対談ということで、まずはお二人のお仕事内容についてお伺いしてもよいでしょうか。

一条ヒカル

それ、聞いてみたいです! 僕、本当に他のグループの方とお話しする機会が無いので、今日は本当に楽しみにしてきました!

ブリ大根KAKERU

僕は毎日同じで超つまらないですよ(笑)。会議などの予定がなければ、開店前は必ずお店の男の子とご飯を食べに行きます。同伴をイメージして「こんな風に扱われたら嬉しいよね?」と体験してもらってエスコートの仕方を教え込むというのを、4年間ずっと続けていて。

ヒカル

4年間毎日ですか!? 真似しようと思っても、絶対にできない……。

KAKERU

連れて行くお店の価格帯も、その男の子がどれくらい売れているかによって変えるので、僕も勉強になるんです。変わってるとは言われるんですけど、「どうしたらお客様がホストといることに価値を感じてもらえるか」を、徹底して教えていますね。ヒカルさんはいかがですか?

ヒカル

僕のほうが地味ですよ(笑)。営業中は、管轄している4店舗をずっと走り回ってます。お店の様子はもちろんですが、営業中の従業員の様子を見ながら、何か行き詰まっていそうだったら少し呼んで、原因究明をしたり解決するための課題を与えたり…。すごく地味なんですけど、一人ひとりと向き合って、伸びる手助けをしたいんですよね。

KAKERU

本当にそう。こんなに動きが早い世界はないというくらい早いから、常に気を抜けないんですよね。ヒカルさん、4店舗も見ていて、お休み取れますか?

ヒカル

うちは初心者が集まっているお店なので、最初は結構大変でしたね。でも従業員の子たちがどんどん頼もしくなってきて、最近はもう各店のTwitterに現れる「#間に合わないおじさん」って、マスコットキャラになっていますよ。僕をネタにして、お店が盛り上がってくれたらそれでいいんですけど。この話を聞いたら、みんなKAKERUさんのところにいっちゃうんじゃないかな……(笑)

#間に合わないおじさん : 各店のシャンパンタワーを見たいがために走るものの、間に合わない一条ヒカル社長の姿をTwitter発信中

KAKERU

いやいや(笑)。外から見ていて、ヒカルさんのところは、カチッと認識がハマっている感じがしますよ。

ヒカル

昔は、厳しくしすぎて従業員が一気に辞めてしまったこともあるんですよ(笑)。でも、「ここで自分のためになる勉強ができる」と感じてもらえれば、人は辞めないと気がついたんです。離職の原因の多くは「数字が作れないこと」なので、その子が数字を作れるテーマを見つけて教えてあげればいいんだって教育方針を変えてからは、少しは働きやすいんじゃないかなって、思ってますね。

コロナの不安と向き合い、今、ホストである意味を問うた

一人ひとりに向き合い、ホストという仕事の誇りを伝えてきたお二人。しかし、ホストの世間的なイメージを一気に悪化させたのが、コロナウィルスによる風評被害でした。

コロナによって歌舞伎町は大打撃を受けていますが、影響を実感し、対策をはじめたのはいつごろでしたか?

ヒカル

3月末くらいでしたよね。メディアが一斉に「クラスターは夜の街で起きている」と報じて、その報道以来「夜の時間帯や土日は出歩かないでください」と広く告げられました。group BJではすぐに土日を休業にして平日の夜の営業に絞り、その後4月5月は全ての営業を自粛にしたのですが、それでも「歌舞伎町はコロナ対策が甘い」と流れ続けるんです。あの頃、まだどんなウイルスなのか、症状や致死率、効果的な対応がほとんどわからなくて、でも正直、どの業界よりも対策は早かったはずです。

KAKERU

あの頃を思い出すと、ただただ「怖かった」ですよね。

「歌舞伎町が危ない」と名指しでしたしね。その時の心境は、どの様なものでしたか。

ヒカル

この街のみんなが思ったことは、一緒ですよね。正直。

KAKERU

僕もヒカルさんもこの業界が長いので余計に、「この仕事が出来なくなったら、どう生きていけばいいんだろう」って、すごく不安でしたよね。「この仕事を奪われたら、何をして生きていくんだろう」って。今まで積み上げてきたことが、全部なくなるのではないかという不安。男の子たちは、もっと不安ですよね。

ヒカル

4月〜5月の自粛期間中が、一番恐怖でした。「この業界はどうなっていくんだろう」って。

その不安の中で、どのように対策を取られたんですか?

ヒカル

「自分たちで考えて動く」しかなかったですよね。待ち望んでいたコロナ対策のガイドラインが出たのは、東京都の緊急事態宣言が解除された6月中旬。でも、ステップ4までの段階を踏んだ解除の中に、夜の街は入っていなかった。

それならもう、自分たちでしっかり対策を取ってやっていくしかないですよね。うちは、マスクの上からフェイスシールドをつけて、店内の消毒も徹底して営業を再開しました。専門医の方にも「正直そこまでしなくていい」と言われるんですけど……。

KAKERU

そこまでするホストクラブはないですよ(笑)。すごいですね!

REDさんはどうでしたか?

KAKERU

正直に言うと、この頃が一番悩んだんですよね。入店客数を減らすとなった時に、「来客数にこだわり続けてきたホストクラブ」としては、歯車が狂ってしまうと思ったんです。

当時はコロナに対する危機感が、まだ薄かったと思います。「あんなものは風邪だ」と言うプレイヤーもいれば、「 店を閉めるべきだ!」と言うプレイヤーもいて、「人数を制限する営業は嫌です」という意見も正直ありました。一人ずつにこれがいかに自分たちの未来に関わる問題かをちゃんと理解してもらうことが、大変でした。

ヒカル

一つのお店の中で、分断しかけたということですよね。僕のところも、新店が3月にグランドオープンする予定だったのですが、30人いた従業員が半分に減って、あの時は辛かったですね。「ホストを続けていいのかな」って不安になって辞めてしまった子もいるし、ホストはそんなに悪い仕事なのかなと。

その中で、どの様に進めていったんですか。

KAKERU

お店として同じ方向性を向けたのは、ミーティングの時の、従業員の一言でした。「鳳条歩」という、お店で一番組数を呼ぶ男の子がいるんですけど、お客様とのやりとりを共有してくれたんですよ。

お客様からこう言われたそうなんです。「日本一混んでいるお店ということは、コロナに感染するリスクも日本一高い。だから行きたくない」。それに対して彼は、「日本一混んでいる理由は、お客様が安心して来られるように、自分たちが対策をしっかりとして、お客様が選んでくださっているからだ」と、ちゃんと伝えていると。

これには、僕の方が勇気をもらいました。具体的な解決策が出ていない中でも、男の子たちは男の子たちなりに、お客様に理解してもらうために頑張っているんだって、めちゃめちゃ感動して。それ以来男の子たちを信じて、お客様にとっての安全安心を追い求める方向に、舵を切ることができました。

ヒカル

自粛か、経済活動か。慎重になる場面でしたよね。あれだけ連日報道されていたら、こちらがどれだけ対策をしていても、「怖い」という意見はもっともです。だからうちは、異常なくらい対策をして発信していました。

でもお客様の安心安全と、何より従業員が安心して経済活動と感染対策の両方取れるベストな方法を探したら、「自分たちがこれでいいんだ」と納得して営業できる形が正解なんですよ。

おかげで「安心だから」group BJを選んでくださるお客様が増えました。「ここまで徹底して対策しているお店ないから」と。

KAKERU

むしろ感染対策をしていないお店には、お客様はもう行かないですよね。

ヒカル

絶対に行かない。もしメディアで言われているように、対策をしないまま営業を続けているお店があったとしても、淘汰されるのは時間の問題です。コロナがあって、「商品価値」が大きく変わりましたよね。お店がいかに豪華か、有名キャストが在籍しているかに加えて、これからはどれだけ安心・安全で通える店かというところも、一個のブランディングとして使える。

これまでお2人が目指してきたホスト業界の未来、このコロナによって変化したことはありますか?

ヒカル

歌舞伎町からは一気に人が減りましたが、僕たちがやることは、基本変わらないです。「必要としてくれるお客様を、楽しませる。」これだけです。不況なんて、僕らの業界は何度も体験していますし、逆にホスト業界には需要があるのだと、このコロナ禍で改めて気がつけました。

KAKERU

「こんなに需要あるんだ」ってめっちゃ嬉しかったですよね。それが本当に、ありがたかった。

ヒカル

「なくてはならない」と待っていてくれたお客様がいるんです。時代に合わせて変わっていく部分はあっても、「お店がなくなる」ことは、考えてはいけない。あんなにマスメディアに「夜の街に行くやつらはダメだ」と報道されているのに、「ヒカルさんのお店だったら大丈夫」って来てくれるだけで、本当にちょっと泣いてましたよ。

KAKERU

あははは! でもわかります!

ヒカル

きっと、「ホストクラブに通うのはやめよう」と思う子も、多かったですよね。その状況下でもお店を開けたら来てくれるお客様は、絶対に大事にしようと思いますよ。絶対に裏切っちゃダメだし、残った従業員同士と、従業員とお客様の絆が逆に強まったということが、歌舞伎町全体で絶対にあると思います。

KAKERU

ありますね。REDは従業員の安全を守るという意味でも、緊急事態宣言解除後は出勤を強制していなかったんです。

来ないことは何も悪くない。でもやっぱり、誰も来ないとしんどいじゃないですか。その中で、「僕は行きます」とか言ってくれると、もちろんみんな大事なんですけど、特に「なんだかこいつめっちゃ好きだな」って感謝しちゃうなと思って。嬉しかったですね。

このコロナ禍で嬉しい感情を得たというのが、すごく素敵ですよね。あれだけ大変だと叫ばれている中で。

ヒカル

僕たちの方が救われることが多かったんですよね。

この先、この絆をどのように紡いでいきますか?

ヒカル

ホストのイメージを変えたいと思ってやってきたけど、今また、確実に夜の街のイメージって悪くなってるんですよね。よく言われるんですよ、上半身裸で女性を両脇にはべらかす、みたいな。あの写真なんなんですか!? 僕、歌舞伎町に11年いますけど、見たことないですよ!(笑)

KAKERU

いない!あれは、どこの方たちなんだろう……(笑)

ヒカル

頑張ってきた子たちが、「やっぱり頑張ってもダメだった」って拗ねてしまったら嫌だなって、一番懸念したんです。「もういいじゃん、俺らなんかもうどうせ悪者だし自由にやっちゃえよ」って好き勝手やり出したら、一部がどれだけ頑張っても、もうホストのイメージを変えるのは難しいんじゃないかと思うところも、正直ありました。

でも今の歌舞伎町は、誰も諦めていない。「そこまで言われるなら、できる限り対策を取ろう」と。その姿勢が、今の時代に素敵だなと思えて。何も無駄にはなっていない。今からまた歌舞伎町一体となって、一緒に立て直していきたいという気持ちですね。

この未曾有の時代、お二人が不安にも負けず、心を折られずに乗り越え続ける理由は、一体なんだったのでしょうか?

KAKERU

「折れる」……。考えたことがなかったです、僕。この街で生きてきちゃったから、この仕事以外ないから。この先も、予想できないことは起こり得るんですよね。僕はもう、なるようになれと思っているんですよ。

その時代に合った形で、ホストの価値をいかに際立たせるか。仕事の本質は、何も変わらないですね。もし、本当に全部奪われたとしても、その時に一番後悔のないように、今できることをやるしかないです。

ヒカル

僕も一緒ですね。ずっとこの世界で生きていこうと、決めているので。

KAKERU

需要があったことに気がつけただけで、めちゃくちゃ嬉しいんですよね。頑張れる。

ヒカル

営業再開した時のお客様の笑顔とか。自粛明けで一発目で入れてくれたシャンパンの味とか。「この場所は絶対になくしてはいけない」とまた新たな覚悟ができました。どんなに理解されなくても、歌舞伎町にはこういう正義があるわけで、それをしっかり守っていきたい。

従業員の子たちは、最初から人として全員が立派だったわけではないかもしれません。中には学歴も職歴もなく、この仕事が無くなったらどうやって生きていけばいいんだと、路頭に迷う子もいるかもしれない。ただ、この仕事に出会って、「このままじゃダメだ」って、更生して一生懸命働いている子もいるんです。そういう子たちが、この街に失望しないように、僕たちは、戦っていくだけです。


RED

RED

東京都新宿区歌舞伎町2-10-8 ゆきざきビル2F

取材協力:合同会社  LA BOUSSOLE
取材・編集・執筆 柴田佐世子
撮影 池田実加
監修 柴山由香

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